州と県
どの国にも地方行政区画がある。
日本の場合は2段階方式で、上位が都道府県、その下に市区町村がある。
世界を見渡してみるとどうだろう?
州のほうが多いような気がする。
たとえばロシアにはクルスク州があり、ウクライナにはサポリージャ州がある。
アメリカももちろん州である。
でもフランスは県である。
ロワール県とかマルヌ県とかいう。
県はフランス革命のときにできtらしい。
でも州とか県は日本語である。
現地語はまったく違う。
どうしてこのように使い分けるのだろう?
想像するに、州は地方分権的であり(アメリカの州はその典型だ)県は中央集権的であるからだろうか?
日本のメディアがその国の地方行政の仕組みを勘案してこのように訳し分けたと考えられる。
日本の場合、明治維新初期に廃藩置県が行われ、それまでの藩がなくなり代わりに県がおかれた。
藩というのは半分独立国のようなもので、完全に地方分権だった。
でも明治政府は富国強兵を目指すうえで「これではいかん」ということになり、県を置いて中央から県令や県知事を派遣した。
つまり戦前は県は国の機関だったのだ。
戦後県は市町村と同等の自治体になったけれど、名称は県のままになった。
あとの都、道、府も同じである。
都は東京都だけ。
首都であることを強調したいのだろう。
でも戦前は東京府と言っていた。
いま大阪都構想なんてのがあるけれどどうだろう?
府は大阪府と京都府。
府もまた鎮守府とか都督府とか大宰府とか言って国家機関であることの意味である。
一時は大阪も京都も首都みたいなものだったから。
道も北海道だけ。
ここは新しいフロンティアだったので特別扱いしたのだろう。
韓国の全羅南道や慶尚北道と言った名称を参考にしたのかもしれない。
ではフランスはどうして県なのだろう?
やはり中央集権なのだろうか?
たしかにフランスの県も20世紀までは官選知事だったが、今では県のトップは公選の県会議長になっているという。
つまり、日本と同様名称だけ昔のままなのかもしれない。
ここでは、ロシア、ウクライナ、アメリカ、フランスの例しか挙げなかったけれど、他の国はどうなのだろう?
やはり圧倒的に州が多いのだろうか?
世界的に民主主義が浸透して地方分権が主流になってきたということだろうか?
この稿では各国の地方行政区画をその日本語訳を頼りに考察してみたのだけれど、メディアは訳す際に各国の地方行政の仕組みを調べるのだろうか?
手間ではあるが、それが誠実な態度というものだろう。
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