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2024年4月21日 (日)

一音節語をめぐって(その24)

「ま」については、まず和語に「間」という一音節語がある。
「間があく」とか「間が伸びる」という言い方は割合よくする。

要するに「あいだ」の意味である。
空間的な「あいだ」にも、時間的な「あいだ」にも使う。

人と人は、ふつうあまり接近しすぎてはいけない。
だから、人は適度な「間」を大切にする。

こういう大事なことばだから、他にも使うことがある。
たとえば、「京間」とか「江戸間」のように、家の間取りをいうこともある。

また、慣用句も多い。
「間に合わせる」、「間が抜ける」、「間が悪い」、「間を置く」などのように。

それから、広辞苑には「馬」も出ている。
ふつうは「うま」というけれども、古語では「ま」という一音節語もあった。
人名でも坂本龍馬のように「ま」と読む。

漢和辞典では「馬」の字音は漢音では「ば」、呉音では「ま」となっている。
訓では「うま、ま」と出ているが、私はこれは怪しいと思っている。

本当は「ま」は訓ではなく音ではないのか?
「うめ」と同じように、語頭に「う」を付加しただけではないのか?

「梅」は漢和辞典では音は「ばい」と出ているが、中国語音では「めい」である。
でも私は言語学の専門家ではないので確定的なことは言えない。
どなたかご教示をお願いします。

それから一音節語ではないが、接頭辞としての「ま」がある。
漢字では「真」と表記する。
「まじりけのない、完璧な」という意味である。

真正面、真ん中、まんまる、真っ白、真四角、まっすぐ、などたくさんある。
どれもよく使う。

新語では「真逆」という言い方もよく使われるようになった。
とにかく強調したいときには、便利な接頭辞である。

字音で「ま」と読む漢字は多くないが、「魔」という魅惑的な漢字がある。
字形に「鬼」が住んでいて恐ろしい。
「悪魔」とか「魔物」とかいって、怖がられている。

でもそれだけではない。
「魔」には「不思議な力」という意味もあって、これは必ずしも悪い意味だけではない。
「魔力」と言えば「すごい力」という意味になる。

そういえば、「魅」の字にも「鬼」が住んでいる。
「鬼」が住んでいるけれども、魅惑とか魅力とか言って人を引き付ける作用がある。

「鬼」は怖いけれども人を引き付ける力も持っている。
私も「ことばの魔力」に囚われてしまったのかもしれない。

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