« 「ことば」と「ことのは」 | トップページ | 土地と名前(その3) »

2018年5月13日 (日)

土地と名前(その2)

ゴールデンウィークのとある一日。
その日は申し分のない五月晴れだった。

鳥取県智頭町に行った。
智頭鉄道の「恋山形」駅に降りた。

駅は「恋」のコンセプトでアピールしているらしく、駅舎が派手なピンク色に塗りたてられていた。

あまり趣味がよくない。
新緑の山林に囲まれたまわりの景観とまるで調和していない。

「恋」のコンセプトで地域振興を図りたい気持ちはわかるが、駅長さん(無人駅だけれど)、町長さんには一考をお願いしたい。

駅からてくてく20分ほど歩いて、6年前に廃校になった旧山形小学校に行った。

いまはその一部が智頭林業資料館として再利用されている。
そのほか山形地区振興協議会などいくつかの団体、会社の事務所が入っている。
「五感のチカラ研究所」や「京都大学デザイン学大学院」なんていう看板もかかっていた。

あいにくカギがかかっていて中に入れなかった。
古びた校舎の裏手に回って、雑草の生えただれもいない校庭で深呼吸をした。
森のにおいがした。

この山あいの町は「ちずちょう=智頭町」という。
名前があるからには、いつか、だれかが付けたにちがいない。

いつ、だれが、どういういきさつで付けたのだろう?
歩きながら考えた。

地名の起源など考えたところで、しょせん徒労に終わる。
起源は古代にたちこめる深い霧のかなたに隠されてしまっている。

そんなことは分かっているのだが…。

ネットで少し調べてみると、地名の由来としてみっつほど説が紹介されていた。

1.「チ(道)・ズ(頭)」(都から因幡国に入る最初の郡)の意
2.「ツツ(筒)」状の地形の土地の意
3.マオリ語の「一番高いところに位置する土地」を意味する「チヒ・ツ=TIHI-TU」の転訛

1について
「ち」という日本語音が「道」を意味するのは分かるが、「頭」を「ず」と読むのは字音である。
つまり漢字が伝来してからの読み方だ。
「ちず」の地名は漢字以前からあったのだからこの解釈はおかしい。

2について
古代の人々はなにごとにつけ素朴だったからこの説はあり得る。
北信濃の妙高山だって、古くは単に「なかやま」といった。
里人がまわりの景観を見渡したところ中央にどっしりそびえているのでそう名付けた。
漢字が入ってきて「なかやま」に「名香山」の文字を当て、さらにその音読みを好字に変換して「妙高山」になったのだ。

3について
奇想天外、荒唐無稽。

本当に地名について考え始めるときりがない。
2008年の秋にも、このブログで何回かにわたって地名について考え続けた。
10年たっても同じことをしている。
われながら進歩がない。

しかし、土地はわたしたちの存在を支える文字通りの基盤である。
「私は今どこにいるのか?」という問いに答えがなければ、わたしたちは不安で仕方がない。

だから、土地に名前を付ける。
名前を付けて認識し、あわよくばわたしたちの管理下に置こうとする。

だから土地の名前のほうが人の名前より先なのだ。
人の名前は土地の名前に由来することが多い。

地名の起源など考えたところで、しょせん徒労に終わる。
それでも、地名のルーツへの情熱は冷めない。

|

« 「ことば」と「ことのは」 | トップページ | 土地と名前(その3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「ことば」と「ことのは」 | トップページ | 土地と名前(その3) »