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2017年7月 9日 (日)

1音節語の関西方言(その3)

「1音節語の関西方言」というタイトルでこのブログにはじめて投稿したのは、2005年8月14日のことだった。
ご興味のある方は、バックナンバーを検索いただきたい。

あれからもう12年!

日本語の広大な世界をめぐりめぐって、結局もとの場所に戻ってきた。
いささかの感慨もなくはない。

あのときも、関西方言における声調類似の現象について同じようなことをお話しした。
12年もかかって、われながらあまり進歩がない。

ただ、あのときは気づかなかったこともあるので、ここで補足しておきたい。

前回、関西方言における声調類似の現象には、上昇調と下降調があることをお話しした。

たとえば、「歯」や「毛」は「はあ」、「けえ」と伸ばして発音し、高低の下降調になる。
逆に「目」や「木」は、「めえ」や「きい」と伸ばして発音し、低高の上昇調になる。

しかしこのほかに、音の高さの変化がない平行調もある。
たとえば、「血」は「ちい」と伸ばすけれども、高低の変化のない平行調になる。

それから、しばらく前に話題になった「名」はどうだろう?

これは関西方言でも、そもそも「なあ」と伸ばさないのではないだろうか?
「名」は関西方言でも「な」であると思う。

関西方言母語話者のみなさん、どうだろう?
かりに「なあ」伸ばしたとしても、平行調になるのではないか?

1音節語でも伸ばす場合と伸ばさない場合。
そして、伸ばす場合でも上昇調、下降調、平行調の3種類のパターンが認められる…。

これが、1音節語の関西方言にみられる声調類似の現象のあらましだ。

このような特徴的な現象がどのような歴史的経過を経て成立したのか、とても気になる。
前回は最後のところで中国大陸との地理的近さを指摘して中国語の影響をほのめかしたのだが、本当のところはわからない。
どなたかご教示いただけないだろうか?

ところで、数行上で「気になる」という表現を用いた。
この「気」も、日本語で非常によく用いられる1音節語だ。

「気」も関西方言のルールに従っている。

「気つけや あんたのことやで そのカバン」
という標語を、関西の人に発音してもらうと「きい」と伸ばす。
声調的には、「ちい」と同じく平行調である。

「気」は同じ1音節語でも、「歯」や「目」や「血」と違って字音語である。
つまり、中国から渡ってきたことばである。

それでも、関西方言の中に入ったときはそのルールに従わざるを得ない。
方言ルールの強力さをあらためて感じる。

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