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2017年6月 4日 (日)

糸とことば(その3)

あなたは子供のころ、糸電話で遊ばなかっただろうか?
はるか昔のことだからよく覚えていないけれど、たしかこんなのだったと思う。

細い糸の両端に紙の筒を結びつける。
結びつける方法は次のとおりである。

比較的丈夫な紙を円筒の直径に合わせて丸く切り取る。
その真ん中に針で糸を通し、抜けないように結び目を作る。

そしてその糸のついた丸い紙を円筒の一方に貼り付ける。
もう一方は口や耳を当てるところなので、何もしない。
糸のもう一方の端も同じようにする。

これで糸電話の出来上がり!

二人が糸をぴんと張って、一人が円筒に口をつけもう一人が耳をつける。
そして一人が何かをしゃべると、もう一人の耳にそのことばがやわらかく伝わるのだ。
糸が緩んでいると、うまく伝わらない。

コミュニケーションにおける糸とことばの役割が、みごとに象徴されている遊びだった。

前々回は、「君の名は。」を語って、多くの糸へんのことばが登場した。

まず糸。
それから、絆、結び、紐、紡ぐ、繋がり…。
そして、織る、編む。

前回はこれくらいを羅列して、それらがみなことばと関わりがあることをあらためて思い知った。
たとえば、セーターを編むだけじゃなく、文学全集も編むものなのだ。

そういえば、「ひもとく」という動詞もあった。
書物のページをめくることを「ひもとく」という。

漢字表記をするなら、「繙く」である。
やはり、糸へんなのだ。

もちろん、「紐解く」でもあるだろう。
巻物の形をしている書物を読むためには、結んでいる紐を解かなければ読むことができない。

読むだけでなく、書くほうにも糸へんの動詞がある。
「綴る」ということばがそれだ。

ほころびを綴るとも言うし、文章を綴るとも言う
この文字も糸へんでできている。

人は文を綴り、あるいはテキストを織り、それを書物にする。
そして、別の人がその書物を繙く…。

人のことばにかかわる所作の背後には必ずと言っていいほど、「糸」の影がある。

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