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2017年4月 9日 (日)

ナショナリズムと色彩

少し前に、色彩の選好に関して大がかりな国際共同研究の提案をしたのだけれど、おぼえていらっしゃるだろうか?

どなたもやる気がなさそうなので、私みずから取り組むことにした。
ただし、大規模なものではなくほんのささやかな研究である。

とりあえず、国旗に目をつけてみた。

国旗はある意味ナショナリズムの象徴だから、国旗に採用される色彩についてはその国民の選好が反映されるにちがいないという仮説から出発する。

ネットで「世界の国旗」を検索する。
すぐにお目当ての国旗一覧があらわれる。

圧倒的に赤が目につく。
日の丸もその例にもれない。

赤は命と活力の象徴だから、国旗に採用されるのはまことにもっともだ。
赤は興奮色だから、ナショナリズムを鼓舞するためにも都合がいい。

出征兵士の壮行会でも、友人知人が日の丸に名前を寄せ書きした。
私の家の納戸にもそれがしまってあったことをおぼえている。

赤は血の色でもある。
人々の血であがなった独立を忘れまい、という気概を国旗に込めた国もあるだろう。

次に目につくのは緑である。
国旗における緑は、大地の象徴だろう。

国民国家の基盤は何といっても土地だから、それを象徴する緑が選好されるのもなるほどである。
それにしても、特にアフリカ諸国に多いのは何を意味しているのだろう?

何かと緑と張り合う青だけれど、国旗に関してはそれほど目立たない。
やはり寒色であり鎮静色であることが人々に敬遠されるのだろうか?
その証拠に、青系が採用されても深い青より明るい青、どちらかと言えば水色に近い色彩のほうが多い。

案外がんばっているのが黄色である。
日本では、ややエキセントリックな色としてあまり評判がよくないけれど、国旗に取り入れている国は多い。

国旗における黄色がなにを象徴しているのか分からないけれど、他の色とのコンビネーションがいいのかもしれない。
たしかに緑と黄色のコンビネーションはあざやかである。

赤、緑、黄色、さまざまな青、そして地としての白…。
その組み合わせで、国旗はできている。

灰色、茶色、ピンクは出る幕がない。
鮮度の低いどっちつかずの色彩として、人々に嫌われている。

国民に対して、何らかの価値を強くアピールする。
それが国旗の使命である。
そのために、特定の色彩が動員されている。

赤と緑が人々のナショナリズムを強く刺激する色彩である。
それがこの国旗小研究の結論だ。

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