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2016年12月18日 (日)

色の名前

方舟さんもおっしゃっているように、日本語には固有の色の名前は4つしかない。

白、黒、赤、青である。

あとはみな、事物の名前を借りて色の名としている。

たとえば、だいだい色はだいだいの色。
藍色は、阿波の名産、藍の発する色。
紫色は、紫草からとれる染料の色。

といった具合に。

茶色はお茶の色だろうか?
広辞苑には、「黒味を帯びた赤黄色」とある。
固有の色名の助けを借りて定義されている。

黄色はどうだろう?
辞書を調べても「き=黄」という具体的な事物が特定されるわけではない。
固有の色名といってもいいような気がするが、微妙だ。

そういえば、緑も微妙である。
「みどり」という語も、特定の具体物との結びつきは認められない。
固有の色名に限りなく近い。

たしかに黄や緑は、基本4色に限りなく近いけれども越えられない壁もある。

試みに形容詞語尾「い」をつけることができるかどうか、テストしてみればいい。

基本4色には文句なく「い」をつけることができる。
しかし、黄や緑にはつけることができない。

「赤い靴」とは言えても「黄い鞄」とは言えないのだ。
「青いズボン」とは言えても「緑いシャツ」とは言えない。

どうしても言いたければ、「黄色い鞄」と「色」を補って言わなければならない。
緑にいたっては、「緑色いシャツ」とも言えない。
「緑色のシャツ」あるいは「緑のシャツ」と「い」抜きで言わなければならない。

その点、茶色は「茶色いたんす」とも「茶のたんす」とも言える。
緑と黄の中間に位置しているのかもしれない。

上に検討した個別の色の名のほかは、みな基本4色との距離は遠い。

日本列島は四季の変化に恵まれている。
当然、色彩もきわめて豊かだ。

だから色を表現する語も、ずいぶん発達している。
繊細な使い分けもできる。
茜色、萌黄色、薄墨色、利休鼠…。

しかし多くは説明的な複合語で、具体的な事物を離れると意味を失う色名である。
なぜ普遍的な色の名がこれほど限られているのか、考えてみれば不思議である。

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