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2015年12月13日 (日)

方位と人名

前後左右上下とともに、東西南北も人が存在し行動するところどこまでもついて回る。
人と方位とは切っても切れない身近な関係にある。

だから、人の名前にもしっかり取り込まれている。

前さん、後さん、左さん、右さん、上さん、下さんという姓もないことはないが、希少人名に属する。

その点、西さん、北さん、南さん、東さんはどこにでもいる。
西加奈子さん、北杜夫さん、南紳助さん、そのまんま東さんなどなど。
みなさんのお知り合いにもきっといるはずだ。

さらに、他の文字と組み合わせた姓は数知れない。

試みに「山」、「川」、「野」、「村」と組み合わせてみる。

西山さんや北山さん。
西川さんや北川さん。
北野さんや西野さん。
それに北村さんや西村さん。

以下同様。

東山さんや南川さんや東野さんや南村さんもいることはいるけれども、西や北ほど多くはない。
姓の世界における西と北の優位は動かない。
なぜだろう?

人々の意識や目が西や北の方に向きやすい傾向があるのだろうか?
まさか!

南や東は発音すると3音節になるから2音節の北や西より発話エネルギーを多く消費する。
それで敬遠されたのだろうか?
言語経済的に考えれば、仮説としては成り立つかもしれない。

この仮説をどなたかに検証してもらいたいものだけれど、こんなことを研究しようと考える物好きはいないに違いない。

東や南は姓の上では劣勢だけれど、北や西と違って下の名前つまり個人名にも採用されている。

たとえば「南」は、高橋みなみさん、峰岸みなみさんがいる。
柔和でやさしい鼻音の連続が女の子の名前として人気なのだ。

「東」は名前に採用された場合、「あずま」とも発音される。
むかし京都大学に奥田東という総長がいた。
かれは「おくだあずま」という名前だった。

これらの例では、南や東が3音節であることが逆に幸いしている。
「にし」や「きた」のような2音節の語では、やや間が抜けていて個人名にはなりにくい。

以前にもお話ししたことだけれど、日本人は自然との間の垣根が低い。
だから、山、川、田、野、谷、岡など自然の景物が人の名前にどんどん取り入れられる。
そして東西南北の方位と結びつく。
こうして日本人の人名があっという間にたくさん出来上がる。

東西南北という方位がどこまでも人について回ることは世界共通のはずだけれど、それが人名に多く取り入れられているのは日本特有の現象なのだろうか。
それとも世界でも普遍的に見られる現象なのだろうか?

識者のみなさんのご教示をいただきたい。

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