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2015年12月20日 (日)

方位と季節

私はこれまでいくどか広々とした野原にまっすぐ立って、南中するお日さまと向き合ったことがあった。
そのとき、両手も水平にまっすぐ伸ばしていた。

このような人間の身体構造の特性を踏まえると、基本的な方位が東西南北の4種で表現されることは納得がいく。
おそらく世界のすべての言語でも基本的な方位は4種類であるに違いない。

と断言していいかどうか世界中の言語を調べ尽くしたわけではないので責任は持てないけれど、たぶんそうだと思う。
地球に住んでいる限り、基本的な方位が3種類であったり5種類であったりすると見当識が変になる。

偶然なのかどうか、季節も世界の多くの地域で基本的には春夏秋冬と4種に区分される。
もちろん世界には常夏の国や年中寒い極地もあることだから、季節に関しては方位のように「世界のあらゆる言語で…」とは言わない。

とは言いながら世界の多くの地域では低温期と高温期があり、その移行期がある。
地軸が傾いたままお日さまを周回する地球の宿命である。

日本語ではその低温期を冬と呼び、高温期を夏という。
夏と冬にはさまれたふたつの移行期を春といい、秋という。

春も夏の秋も母音の「あ」を含んでいる。
冬だけが「あ」を含んでいない。

この事実について、冬は寒いから口を大きく開けて「あ」を発音することを避けたのだという人がいる。
冗談だろうけれど、1%くらいは真実を含んでいるかもしれない。
ソシュールのテーゼに対する控えめな反証…。

それはさておき、東西南北と春夏秋冬は容易に重ね合わせることができる。
春は東に、夏は南に、秋は西に、冬は北に対応する。
人間のイメージや情感が4つの方位と4つの季節を結びつける。
だから、「東宮」のことを「春宮」とも書く。

この点季節が逆転する南半球では、夏が北に、冬が南に結びつくのだろうか?
ニュージーランド在住の方に聞いてみたい。

ところで古代中国の思想では、四季は色彩と結びついている。
青春、朱夏、白秋、玄冬という。

さらに色彩は動物と結びついている。
青龍、朱雀、白虎、玄武という。

そしておもしろいことに、この考え方が回り回って方位と関係してくる。

私の好きな京都は四神相応の地だという。

東に流水のあるのを清龍、西に大道のあるのを白虎、南に窪地のあるのを朱雀、北に丘陵のあるのを玄武とする。
これが四神相応した最も尊い地相なのだそうだ。

たしかに御所のあたりから南を見ると、左手東の方に鴨川が流れている。
西の大道はよくわからないが、正面南には低地が広がっている。
そして背後は北山である。

桓武天皇は「これぞ、四神相応の地!」と欣喜雀躍したのかもしれない。

四季と方位、それに色彩や動物…。
時間と空間、そしてそこに存在するさまざまな事物を巻き込んで、古代から人々のイマジネーションはとめどなく広がってきたのだ。

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