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2015年12月27日 (日)

上と下

少し前、左右軸と前後軸に上下軸を加えることで3次元空間が出来上がるというお話をした。
わたしたち人間はこの3次元空間で生きている。

左右、前後、上下のたがいに直交する3つの軸は、人間の身体を基準として定義されている。

わたしたちが直立してまっすぐ前を向いたとき、その視線を延長した直線が前後軸である。
水平に伸ばした両腕がかたちづくる直線が左右軸である。
そして頭と足先を結んだ直線が上下軸である。

したがって、人が生き、行動するところどこまでも左右、前後、上下はついて回る。
だから左右、前後、上下は空間関係を表現するにとどまらず、広く人間関係、社会関係全般に応用される。

しかし、上下が左右、前後と決定的に違うのは価値観念がはっきりしているところだ。

少し前にお話ししたように、左右や前後や東西南北についてもどっちがえらいという議論は成り立たないこともない。
ただ、どちらに軍配を上げるにせよその違いは決定的なものではないし可変的でもある。

しかるに上下の価値秩序は歴然としていて、しかも絶対的である。
上のほうがえらいに決まっている。
世界中どこでもそうである。

この価値秩序のもとはお日さまである。

いのちの源泉であるお日さまはわたしたちの頭の上で力強く輝いている。
そして、わたしたちの意識の中でお日さまと神さまは重ねあわされている。
太陽神は原始宗教では普遍的な存在だ。

わたしたちの上のほうではお日さまが光輝き、神さまがいらっしゃる。
反対に足元の地面の下は光が届かずじめじめとしていてサタンが住んでいたりする。

わたしたちがこう考えるようになるのはごく自然のなりゆきだと思う。

上下のことを天地とも言う。
大きな荷物には上下逆さにしてはいけないという意味で「天地無用」などと書いてある。

上下軸を上にまっすぐ伸ばすと「天」に至る。

天には高天原やエデンの園や天国があったりする。
神さまの楽しいすみかである。

上下軸を「天」とは反対の方向に伸ばすと、「地」にぶつかる。
地をさらにもぐりこんで行くと、薄暗い黄泉の国や地獄があったりする。
あまり行きたくないところである。

上下の観念は太陽の運行という宇宙的事実や人間の身体条件にもとづいているので、人類共通である。
だから世界の諸語で上下をあらわす語は、人間的、社会的価値観と強く結びついている。

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