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2015年11月 1日 (日)

縦横と空間

上下、左右、前後の三つの軸がそろうと3次元空間が成立する。
そしてその空間における存在の位置、形状、大きさといった物理的特性も三つの軸で特定もできるし記述もできる。

ならば、「たて」や「よこ」なんていうことばは出る幕ないんじゃない?
「たて」や「よこ」という概念は、空間の中でどんな意味があるの?

こんな素朴な問いに対して、前回私は答えることができなかった。
それを自分の頭の悪さのせいにして先に進んだ。

しかしもう少し粘ってみようと思う。

たとえば、わたしの目の前に机が一つあるとする。
この机の大きさをどのように記述するか?

上下、左右、前後の3軸が空間の中でオールマイティならば、上下何センチ、左右何センチ、前後何センチと表現していいはずだ。

しかし、ふつうはそうは言わない。
たて何センチ、よこ何センチ、高さ何センチと表現している。
そのほうが感覚的にもしっくりくる。

左右のかわりに「よこ」、あるいは「はば」。
前後のかわりに「たて」、あるいは「奥行き」。
上下のかわりに「高さ」。

そう、前後左右上下は必ずしも空間の中でオールマイティイではなかったのだ。
「よこ」や「たて」にもやはり出番はあった。
よかった。

では、前後左右上下とたてよこはどう違うのか?

私は前後左右上下は方向に関する概念だと思う。
そして方向は運動と結びついている。

前に進む、後ろに退く。
右に向かう、左に折れる。
上に昇る、下に潜る。

前後左右上下は、動詞との相性がいい。

これに対して、縦や横は空間における静的な秩序ないし位相をあらわす概念ではないだろうか。
方向や運動には関心がないのだ。

だから静止物体を表現するのに向いている。

たてに並ぶ、よこに伸びるなど動詞と結びついた表現もあるではないか。
そんな反論があるかもしれない。

しかしこれらの表現は、運動そのものでなく運動が終わった後の静止的状況の表現なのだ。
大きさを表現するのに、机ではなく猫のような運動する存在であれば、たて、よこ、高さとは言わないと思う。

こうして、前後左右上下だけでなくたてやよこにも空間の中で十分存在理由があることが分かった。
「たて」も「よこ」もきっと胸をなでおろしていることだろう。

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コメント

しおかぜさん
私流の(短歌流の)解釈です。
・そうあると 誰もがそうと 感じると そう思うから
 それはそうある‥‥‥(人間による空間の共有)
・そうなると 誰もがなると 思うから そのようにして
 それはそうなる‥‥‥(人間による時間:動きの共有)

投稿: 平戸皆空 | 2015年11月 2日 (月) 00時28分

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