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2015年11月29日 (日)

東西と南北

真昼、お日さまがもっとも空高く輝いているとき。

私はそのお日さまにまっすぐ向き合って、広々とした草原に直立している。
両手は水平に伸ばしている。

私が顔を向けている方角を南という。
そして、右手が指す方角を西、左手が指す方角を東という。私の視界に入らない方角が北である。

こうして東西南北の方位が定まる。
方位はお日さまの運行によって定義できるから分かりやすい。

視界によって定義できる前後よりもさらに客観的で分かりやすい。
何と言ってもお日さまの運行は頼もしいよりどころだ。

春分や秋分の日にお日さまが昇る方角が東、日が沈む方角が西。
実にすっきりと決まる。

だから、広辞苑は面妖な左右を定義するのに方位を持ち出したのだ。

さて、東西南北は基本的な方位だが、必要に応じてこれを細分化することができる。

たとえば、東と南の間が南東、さらにその南東と東の間が東南東、という具合に。

NHK第2放送午前10時、午後4時の気象通報ではこの16方位で風向を表示している。
「南鳥島では、東南東の風、風力3、天気晴れ、気圧…」などと放送している。

ところでこの中間方位の表現について、少し気になるところがある。

たとえば、天気予報では「北東の風3メートル、曇り時々晴れ」などと言っているけれども、関東と北海道に挟まれた地域のことは一般に「東北地方」と呼びならわされている。
仙台にある国立大学も東北大学である。
さて、「北東」なのか「東北」なのか?

天気予報では、「鹿児島では南西の風1メートル、雨のち曇り」などと言っているけれども、明治初期に九州で起こった内乱は「西南戦争」と呼びならわされている。
福岡にある私立大学も西南学院大学という。
「南西」なのか「西南」なのか?

つまり、東西が先なのか南北が先なのかという問題である。

気象庁では、風向を表現するとき独自のルールで南北を先にもってきたのだと思う。
それ以外の分野でも何かルールがあるのだろうか?

たとえば、あなたは西と北の間をどう表現するだろうか?
北西、それとも西北?
気象庁では、「北西の風…」と言っているけれども、早稲田の学生は「都の西北…」と歌っている。

東西が先か南北が先か、どちらでもいいようなものだけれど、どちらを選ぶにせよそれなりの理由や根拠があるはずだ。

たとえば気象庁が南北を先にした理由は何だろうか?
東西よりも南北のほうがえらいと考えたからだろうか?

一般に4つの方位をまとめて表現するときは東西南北と言っているから、東西のほうがえらいのかもしれない。
大相撲だって番付は東西に分かれ、南北は関係がない。

世界の諸語では、方位について何か価値づけをしているのだろうか?
つまらないことかもしれないが、こだわってみたい気持ちもある。

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コメント

私は最近自分の墓地探しをしたのですが、墓のほとんどが
東向きか、西向きで、たまに北側の奥まった所に南向きの
墓があるという具合で、北向きの墓はほとんど見かけませ
んでした。一番好まれているのは、関東では東向きで、ご
来光を拝むというイメージに重ねあわせているようで、関
西では西向きが人気で、これは仏教が生まれたインドが西
方にあり西方浄土という考え方に拠るようです。北は「そむ
く」「にげる」という意味があるくらいで、一番好まれない方
角のようですね。やはり人間が生きて来た上で、太陽
の重要性を本能的に意識しているんでしょうか。
南半球の地域では南向きが嫌われているんですかね?

投稿: 平戸皆空 | 2015年11月29日 (日) 20時27分

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