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2015年9月26日 (土)

たてよこ迷走

織物はタテ糸とヨコ糸からできているという。

この場合、どれをタテ糸と呼びどれをヨコ糸と呼ぶのだろう?

生地全体が細長い場合、長いほうに平行な糸がタテ糸なのだろうか?

そうだとすれば、もし生地が正方形をしていたらどうなるのか?
生地を台の上に置いたとき、「わたし」から見て左右に伸びる糸をヨコ糸と呼び、それと直角に織り込まれた糸をタテ糸と呼ぶのだろうか?

それなら、その生地を90度回転させればこれまでタテ糸だったものがヨコ糸になり、ヨコ糸だったものがタテ糸に変わる。
この場合、タテとヨコは一義的に定まらない。

結局、「わたし」の視点が基準にならざるを得ない。
「わたし」からみて左右に伸びる方向が「よこ」でありこれと直交する方向が「たて」である、と納得するしかない。

実はそれでも問題は残る。
この「たて」に伸びる方向を「前後」というべきだろうかそれとも「上下」と呼ぶほうがいいのだろうか、という問題である。

広辞苑では、「たて」の第一義として「上から下への方向」と定義している。
そして、第二義として「前から後ろの方向」と定義している。

「前後」なのか「上下」なのか。
「たて」の認識として、あなたの感覚ではどちらがふさわしいだろう?

人が「たて」に並ぶ場合、前の人、後ろの人とは言っても、上の人、下の人とは言わない。
だとすれば「前後」がふさわしいのだろうか?

しかし、「よこ」の線に直交して「たて」の線を引く場合、ふつう「上から下に線を引く」と言い、「前から後ろに線を引く」とは言わない。
だとすれば「上下」がふさわしいのだろうか?

私の思考はかくして迷走してやまない。

「たて」と「よこ」はたがいに直交する関係にある。
その限りでは平等な対概念である。

しかし、「よこ」に比べて「たて」には立体的なイメージが含まれていると思う。
単に横軸と交差して2次元平面を形成するだけでない何かがある。

人が大地にすっくと「たつ」。
その人体軸は、神さまのいる天を指している。

そのすがたが「たて」である。

有象無象が無秩序に群がる「よこ」とは違うのだ。
なぜ「よこ」には芳しくないイメージがつきまとい、「たて」はそうでないかが分かるような気がする。

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