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2015年9月12日 (土)

たてよこ幻想

日本語のタテとヨコは対概念である。

しかし、漢字の縦と横は文字の成り立ちとしては対称的ではない。
縦の義符は「糸」であるのに対して、横の義符は「木」である。

縦がなぜ機織りや織物に関係し、横がなぜ植物に関係しているのか?

漢和辞典でもそれ以上の説明がないからよくわからない。
あるいは「説文解字」でもひもとけばわかるのだろうか?

それから、横の音符の「黄」は、本来腰のよこに着ける帯び玉の意味だそうだ。
それに「木」がつくと、どうして「よこしま、道理に従わない、邪悪、ほしいまま、勝手気まま」の意になるのだろう?
いまは亡き白川静先生に聞けばわかるのだろうか?

前回、横が持つ無秩序性は世界共通のはずだが、日本語、中国語以外の言語でも横をあらわす語には負のイメージがまとわりついているのだろうか、という問いを投げかけてみた。

まだどなたからもお答えをいただいていないけれど、たとえば英語に関してはそもそも日本語の「ヨコ」にぴったり対応することばがないようだ。

日本語の「ヨコ」は空間の方向感覚をあらわすだけでなく、そこから派生してさまざまな人事の分野にも進出し、ネガティブな意味をふりまいている。
英語では、一語でそのような働きをすることばはないと思う。

英語の場合は、場面に応じて別々の語を当てている。
ということはそもそも私の発問が成り立たないのかもしれない。

私は外国語は英語くらいしか知らないけれど、他の言語ではどうなのだろう?
首を横にふる動作は拒否をあらわし、縦に上下させる動作は肯定をあらわすという身ぶり言語は世界共通のような気がするのだが…。

ところで「ヨコ」という語を借りて、「横たわる」という自動詞、「横たえる」という他動詞がある。
同様に、「タテ」に対しては「立つ」という自動詞、「立てる」という他動詞がある。

「ヨコ」の場合は名詞から動詞が派生したという関係は明らかだけれど、「タテ」の場合はどうだろうか?
「立つ」という基本的な動詞から「タテ」という名詞が生まれた可能性もある。

いままで横たわっていた人が、すっくと立ち上がる。
地に足をつけ、頭は天を指している。
その細長い人体軸のありさまから、「タテ」という語が生まれたのかもしれない。

言語が持つ身体性の傍証とも言える。

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コメント

今晩は。私は少し暇ですから考えてみました。
人間に左右の概念があるのは、体が左右対称という構造か
ら来ているんじゃないかと思います。もちろん厳密な左右
対称形ではありませんし、内臓の幾つかは一つしかなく、
左右対称形ではありません。
左右の概念は、手足と、目、耳の左右対称構造が決定的な
影響力を持っているように思います。
体の構造が思考に、特に言葉の形成にどのような理屈で作
用したのかは不明ですが、左右、2次元的思考、2進法発想、
2拍子的動作、などは体の作りから来たものと思えば納得す
るような感じがしますが。‥‥
ついでに、上下の概念は重力の感覚(知覚)から生じてい
ると思います。
この探求を進めるには、もっと暇でないと出来ませんが‥

投稿: 平戸皆空 | 2015年10月 3日 (土) 01時08分

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