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2015年9月 4日 (金)

タテとヨコ(その5)

前々回、や行音にはご注意を、というお話をした。
とにかく「や」、「ゆ」、「よ」のつく語の周辺には妖しげな雰囲気がたちこめている。

そこで連想するのは、「よこ」という語である。
このことばにもや行音が含まれている。

もちろんこの語にや行音が含まれているのは単なる偶然にすぎない。
「やみ」や「ゆうべ」や「よる」と深い関係があるわけではない。
「たて」と対をなして空間のオリエンテーションを記述する語である。

けれどもせっかく連想が及んだのだから、このことばについて少しく考察してみたい。

すぐに気がつくことは、この語には芳しくないイメージがつきまとっている、ということである。

横やりを入れる、横車を押す、横紙破り、へたの横好き、横恋慕する、などなどろくな使われ方をしていない。
いい意味を持つことばは「横綱」くらいだろうか。

それだけではない。
「横」を含む漢字熟語も同じ傾向を持っている。

横領、横柄、横行、横着、横暴、横死、専横などなどこれまたネガティブな意味を持つことばばかりだ。

つまり、日本でも中国でも「横=よこ」はよからぬ物事をあらわす際に用いられる。
一方、「横」の対語である「縦」を含むことばは上下、垂直の関係を価値中立的に淡々とあらわしているにすぎない。

「横=よこ」も本来は左右、水平の関係を淡々とあらわすはずだった。
では、なぜ「横=よこ」はこのような気の毒な役目を背負わされることになったのだろう?

縦の関係は頂点に神さまが存在しているから、全体として厳然とした秩序がある。
これに対して、横の関係は右に行っても左に行っても、似たり寄ったりの連中ばかりである。
つまり無秩序である。

だから人間はめいめい好き勝手な行動をする。
行動を慎むということをしない。

そのために、横の関係の間ではトラブルや問題が起こりがちである。
「横=よこ」が負のイメージを背負わされるようになったのは、このような事情からかもしれない…。

というのが私の解釈だけれど、間違っているだろうか?

ともあれ、このような横の関係が持つ特性は日本や中国だけでなく、世界の他の地域でも共通していると思う。
ならば、日本語や中国語だけでなく世界の諸語でも「横」をあらわすことばには負のイメージがつきまとっているのだろうか?

どなたか研究されていないだろうか?

今から9年前のことになるけれども、このブログで「タテとヨコ」のタイトルで一連の記事をエントリーしたことがあった。
だからタイトルとしては、その続きになっている。

しかし、その時のテーマは縦書きか横書きかという書記方向の問題だった。

この分野では、「横」のほうが合理的ということで世界の大勢を占めている。
「横」も悪いことばかりではないようだ。

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