« 「ひる」と「よる」 | トップページ | タテとヨコ(その5) »

2015年8月29日 (土)

合区問題

来年の参議院選挙に向けた制度改革が国会で成立した。
そのポイントの一つに、隣り合う選挙区の「合区」がある。

さて、この「合区」という熟語を目にしたとき、あなたはこれをどう読むだろうか?

「ごうく」それとも「がっく」?

NHKのニュースでは、「ごうく」と読んでいた。
朝日新聞では、ご丁寧にも「ごうく」とルビを振っていた。

マスコミでは「ごうく」が大勢のようだ。
私が使っているパソコンでも「ごうく」と入力すると「合区」に変換される。

しかし…。

私はNHKが「合区」を「ごうく」と読んだとき、いささかの違和感を持った。
隣り合う二つの選挙区が「合体=がったい」するのだから、「がっく」じゃないの?

それから家族や友人知人に、「ねえ、合区をどう読む?」と聞いて回った。
アンケートの結果は、8割がたが「がっく」だった。

合体だけでなく、合唱、合宿、合併、合作、合致など「合」を「がっ」と読む場合は少なくない。
ふたつの選挙区が合体するのだから「がっく」でもおかしくないし、むしろそのほうが自然に感じるのだがどうだろうか?

「合区」は比較的新しい造語である。
だから、辞書にも載っていない。
新明解には、「ごうく」は「業苦」しか出ていない。

したがって、「ごう」と「がっ」のふたとおりの読みが可能な場合、どちらを採用するのかが問題になる。
「合区」は「ごうく」と読まなければならない、という法律があるわけではない。

マスコミが「ごうく」と読んだ根拠は何だろうか?

「ごう」か「がっ」かは、下に続く文字の読みによって定まるのではないか?
というのは、さしあたり誰もが思いつくアイデアではある。

「合致」のように下の文字が一音節なら「がっ」になる。
というルールを持ち出そうとしても、すぐ「合祀=ごうし」という反証が出る。

「合算」や「合戦」のように、下の文字が2音節で「ん」で終わる場合は「がっ」になる。
というルールを持ち出そうとしても、ならば「合弁=ごうべん」はどうなんだという反証が出る。

そもそも「合法」と「合邦」のように、下の文字が同じ「ほう」でも「ごう」になったり「がっ」になったりする。

ちなみに現代中国語音では、「合」の字音はひとつしかない。
しかるに、本邦では「ごう」とも読み「がっ」とも読む。

「行」における「ぎょう」と「こう」のように、呉音と漢音の違い、というわけでもなさそうだ。
どうやら、「合」の字音の内部構造に問題を解くカギがありそうだ。
それと後に続く文字の字音との関係で決まると思う。

それにしても「合区」の場合、「ごうく」と「がっく」のふた通りの可能性は依然として残る。
マスコミは「ごうく」かもしれないが、私は「がっく」の肩を持ちたい。

 

|

« 「ひる」と「よる」 | トップページ | タテとヨコ(その5) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「ひる」と「よる」 | トップページ | タテとヨコ(その5) »