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2014年11月23日 (日)

「ある」と「ない」(その4)

形容詞にはなぜか語尾に「ない」がつく語が多い。
前回はそんなお話をした。

例として、みっともない、かたじけない、とんでもない、やるせない、あどけない、しどけない、いたいけない、ぎこちない、だらしない、はしたないなどの語を挙げた。

語の構成としては、「ない」を否定詞とみて前に来る語を否定した状態をあらわすのがふつうだ。
たとえば「やるせない」なら、「やるせ=遣る瀬」が「ない」状態、つまり心のやりどころがない状態をあらわす。

ただ、「ない」形容詞はこのようなわかりやすい語ばかりではない。
たとえば「あとけない」の「あどけ」、「ぎこちない」の「ぎこち」とは何か?

このように出自不明の語があらわれると一筋縄ではいかない。
そんな感想を吐露したところで前回は終わった。

その後で、ふと「あっけない」という語を思い出した。
そうそう、そんな語もあったっけ。
辞書ではどのように扱われているだろう?

「ない」は形容詞を作る接辞。「無」の意味はない。

「新明解国語辞典」にはこんな解説があった。
うーむ、ここまで断定的に言い切ってしまってもいいものだろうか?

意味としては、「物足りない」という語釈が出ている。
やはり否定詞「ない」の作用が及んでいるように思えるのだが…。

「あっけない」の「あっけ」は辞書にもちゃんと載っている。
「明け」の強調形か?という解説もあった。
「あっけにとられる」という言い方も一般的だ。

つまり、りっぱに自立した名詞である。
意味不明、出自不明の「あどけ」や「ぎこち」とはわけが違うのだ。

だから名詞「あっけ」と否定詞「ない」にきれいに分解できる。

「新明解」はこの「ない」に否定=「無」の意味はない、と言い切っているけれども、否定詞「ない」と名詞「あっけ」との複合形容詞と理解するほうがはるかにわかりやすい。

「新明解」にたてをつくつもりはない。
ただいささか納得しがたい解説だったので、つい異議申し立てをしたまでである。

今回は、「あっけない」というたったひとつの語をめぐる考察で終わってしまった。
あっけない幕切れだった。

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