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2014年6月14日 (土)

「まち」と「都市」

「むら」が大きくなれば「まち」になる。

では、「まち」が大きくなれば何になる?

うーむ、困った。
適切なことばが思いあたらない。

「都会」だろうか、「都市」だろうか?
たしかに「都会」や「都市」という語には、「まち」の規模が大きくなったイメージがある。

では、「むら」が大きくなって「まち」になるように、「まち」が大きくなって「都市」になる?

ちょっと待ってほしい。
どうもこのプロセスには日本語話者の言語感覚としてすんなり納得できないところがある。
だいいち、「都市」は和語じゃないし。

「都市」という漢語に対応する和語がなかった、ということは日本語話者の頭の中には「都市」という概念がなかったということだ。

「都市」はユーラシア大陸の概念だと思う。

エジンバラの「バラ」。
ハンブルグの「ブルグ」。
ストラスブールの「ブール」。
ハイデラバードの「バード」。

ユーラシア大陸(エジンバラはブリテン島だけれど)の都市名の語尾は「城壁に囲まれたところ」という意味で共通している。

日本列島の「まち」は城壁に囲まれていなかった。
中世堺や平野のように濠で囲まれた自治都市はあったけれど、これらはほんの例外だ。

つまり、「まち・むら」と「都市」とでは、人が集住するパターンとして性質が違うのだ。
同じ意味平面には並べることができない。

では、「都市」のかわりに前回登場した「みやこ」という和語を用いるのはどうか?

しかし、「みやこ」には「天子や帝が住まいするところ」という意味がどうしてもついて回る。
それが難点だ。

結局のところ、日本語話者の感覚では「まち」は大きくなって「大きなまち」になるしかない。
東京も大阪も神戸も、しょせん「都市」ではなく「大きなまち」にすぎないのかもしれない。

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コメント

はじめまして。

「城」という漢字は中国では「都市」という意味ですね。「紫禁城」は英語では「Forbidden City」と言い、直訳すれば「禁じられた都市」です。日本人の感覚では紫禁城は「しろ」で「町」という感覚はありませんが、ウィキペディアの「紫禁城」の言語間リンクを見るとほとんどの言語で「禁じられた都市」という言い方になってました。たとえばスペイン語でも「Ciudad Prohibida」(ciudad=都市)でした。英語版ウィキペディアのカテゴリでは一応castles(城)やpalaces(宮殿)に分類されてましたが。城壁に囲まれた都市を例に挙げると日本でも江戸城がそうだったと思います。町人が住む地域を城壁で囲んだらしいです。日本語の「しろ」には町という意味はありませんが、漢文を訓読する際「城」を「しろ」と読んでいる部分が実際には「都市」を意味しているということもあるみたいです(漢和辞典を見てそんな感じがしました)。

ヨーロッパに「-burg」という都市名が多いですが、この「-burg」もゲルマン系の言葉で城という意味と同時に都市という意味もあるみたいですね。

マレー語の「kota」も都市という意味と同時に城という意味もあります。

沖縄の方言で城のことを「ぐすく」と言いますが、これも一説には「集落」(都市よりだいぶ小規模なものですが)を意味したとも言われています。

投稿: すぐる | 2014年8月13日 (水) 10時36分

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