« 木と樹 | トップページ | 岸と浜 »

2014年5月 9日 (金)

岩と石

川の流れに乗って移り変わる風景をぼんやり眺めていると、ふと特徴のある岩が目に留まることがある。
どこかライオンを思わせる形をしている。

土地の人からは「獅子吼岩」と呼ばれているとのこと。

こうした岩は、大きく広がる風景のアクセントになっている。

石は岩よりも小さいからぼんやり眺めていては気がつかない。
しかしハイキングの途中、休憩のつもりでふと腰を下ろした石が「亀石」だったりする。

「岩」という文字の中には「石」が含まれているから、漢字を発明した人の意識の中では同じカテゴリーに含まれているのだろう。
動物や植物に対して鉱物というカテゴリーだろうか?

さて、例によって「石」と「岩」の区別だが…。

広辞苑には「石の大きいもの」が「岩」である、と定義されている。
つまり大小が分類基準になっているのだが、これまた「河、川」や「森、林」、「野、原」と同じく境界ははっきりしない。

世界には巨石文化というものがあって、巨大な石を素材としてモニュメントを作ったりしている。
イースター島のモアイなどずいぶん大きな石像だけれど、石像というくらいだからやはり「石」なのだ。

ともあれ、境界がはっきりしないまま「河川」や「森林」と同じく「岩石」としてまとめられている。

大小といえば、「君が代」には「さざれ石の巌となりて…」というミステリアスな歌詞がある。
大きな岩が長い年月の間にすり減り分解して石になるのはわかるが、ちっぽけな石ころが多数集まっていつの間にか巨岩に成長するなど、そんな奇想天外なことが起こるだろうか?

大小よりももっと説得的な基準があるような気がする。
たとえば、岩は「地面に固着して動かせない鉱物」、石は「持運び可能な鉱物」としてはどうだろう?
これならモアイが石だと言い張っても納得できる。

さらに質感の違いも無視できない。

岩はごつごつ、ざらざら。
石はつるつる、すべすべ。

直観的にわかる基準といえるのではないか?

上でお話ししたように、石と岩は鉱物という同じカテゴリーにまとめられている。
しかし、鉱物の種類を表現する術語としては「安山岩」、「玄武岩」など「岩」という語が用いられている。
この点では、「石」ではなく「岩」が鉱物全般を代表しているのだ。

石としてはくやしい結果である。
石は石垣や石畳や漬物石として用いられ人の暮らしに大いに役立っているのに、岩に先を越されてしまった。
何だか「湖沼」から仲間はずれにされた「池」の運命に似ている。

ともあれ、「森本さん」や「小林さん」と同じく「岩本さん」や「石田さん」という姓も日本人には多い。
石や岩は植物のように柔和ではないが、逆にその堅固さと安定感が好まれるのだろうか?

|

« 木と樹 | トップページ | 岸と浜 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 木と樹 | トップページ | 岸と浜 »