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2014年4月12日 (土)

野と原

前回は「おか」を眺めつつ、ゆらゆらと川を下って行った。
丘にしろ岡にしろ、野や原にこんもりあるいはなだらかに盛りあがった地形である。

それはさておき、野と原は似たことばである。
「おか」に対して、どちらも平べったい地形をあらわしている。

「野原」とくっつけた言いかたもある。
似たことばを連結して熟語を構成する点では「山岳」や「河川」や「湖沼」や「丘陵」と同じである。

ただし、「野原」は「のはら」である。
訓読みつまり和語の連結である。
この点が、「山岳」や「河川」や「湖沼」など字音で作られた熟語と違ってめずらしい。

野と原は似たことばだけれど違いはあるだろうか?

むかしの子どもたちは原っぱでよく遊んだ。
子どもたちが日常遊ぶ程度の広がりを「原」というのだろうか?
「原」よりもさらに大きな広がりを持つのが「野」だろうか?

よく使われる類義語だけれど分類基準があいまいなのは、「山と岳」や「河と川」や「池と沼」と同じである。

野原といえば日本人の姓にもある。
さほど珍しい姓ではない。
「クレヨンしんちゃん」のフルネームもたしか「野原しんのすけ」君だったと記憶している。

そのしんちゃんが逆立ちをすれば原野さんになる。
原野さんもさほど珍しい姓ではない。

そしてこれを音読みすれば、「げんや」という漢字熟語に変身する。
ただし、「げんや」における「原」の字義は「原っぱ」と同じではない。

単なる平地という意味ではなく、オリジナルあるいは人為によって改変されていないという含意をもつ。
「起原」や「原理」などの熟語として用いられるほうの「原」である。

人手による開発が及ばない草ぼうぼうの平地を「原」という。
これに対して「野」はふつう丹念に耕されて田畑や放牧地として利用されている。

ただ、「の」でなく「や」という字音に注目すれば人の管理が及ばない領域という意味もある。
「野生」や「下野」という熟語がある。
その点では、「原」と一脈相通じるところもある。
簡単に対比してはいけないかもしれない。

さて、野原さんや原野さんのほかに単に「原」さんという一字の姓もある。
わりによくある姓である。
ただ、「野」さんという姓はない。
やはり1音節では姓としておさまりが悪いのだろうか。

自然の景物と日本人の姓を絡めて考えてみるのもおもしろい。

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コメント

谷川健一氏が、野と原の違いを調べています。野は傾斜地で原は平坦地。焼畑は野で行われていたという。

投稿: 野と原の違い | 2016年9月29日 (木) 16時23分

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