« 「やま」と「さん」(その2) | トップページ | 川と河 »

2014年3月10日 (月)

「やま」と「さん」(その3)

さて神戸市民に親しまれている六甲山は、昔の国制でいえば摂津国武庫郡から播磨国にかけて連なっている。
だから古代は「むこのやま」と呼ばれていた。
その「むこのやま」に「六甲山」という漢字が当てられ、それを字音読みすることによって「ろっこうさん」という呼び名が成立した…。

六甲山のガイドブックにはそんな山名考証が紹介されている。

「日本百名山」に登場する「妙高山」も似たような経過をたどっている。

その昔、「妙高山」は里人から単に「なかやま」と呼ばれていた。
漢字の伝来とともに、その「なかやま」に「名香山」という表記が与えられた。
そして、その「名香山」が「みょうこうさん」と字音読みされるようになり、さらに同じ音を持つ好字に変換されて「妙高山」が成立した…。

なにしろ昔は万事が素朴だった。
だから「むこのやま」であり「なかやま」だったのだ。

その素朴な名に漢字が作用し、字音が作用して「六甲山」、「妙高山」という今日のりっぱな名前が成立した。
山の名にはそんなプロセスをたどった例が多かったことと思う。

では、真打の「富士山」はどうだったか?

たとえば縄文時代の人々にとっても、あの火山は印象的な山だったにちがいない。
今は登呂の遺跡と呼ばれているあたりで暮らしていた人々も、朝に夕にあの山を仰いでいたことだろう。

縄文、弥生の人々はあの山をどう呼んでいたのだろう?

なにしろ素朴な連中だから、凝ったネーミングなどしないに決まっている。
たとえば、高い山だから単に「たかやま」とか…?

今となっては推測のすべもないけれど、ともあれいつの頃からか「ふじ」と呼ばれるようになった。

漢字伝来以降、この山は「富士山」や「不二山」と表記されるようになった。
しかしこれは字音を借りたもの、つまり万葉仮名的な表記だから「ふじ」という音が持つ本来の意味とはかかわりがない。

この「ふじ」の本来の意味は何だったのだろう?
「ふじ」という音声表現でこの山を讃えた古代人の心性に迫ってみたいものだ。

|

« 「やま」と「さん」(その2) | トップページ | 川と河 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「やま」と「さん」(その2) | トップページ | 川と河 »