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2014年1月27日 (月)

戦いすんで、日が暮れて…

漢字・漢語という異文化が日本列島に渡来してかれこれ2千年…。

土着文化であった大和ことばとの間で繰り広げられた無数の葛藤、相克、軋轢の歴史に思いをはせると、気が遠くなる。

おびただしい漢字・漢語が熱烈な歓呼の声とともに人々に受け入れられた。
その陰で、「いあ」のようにひっそりと消えていった和語もあった。

和語もがんばった。
「れん」を受け入れつつ、「こい」もしぶとく生き残った。

強力な漢字圧をぎりぎりで押しとどめ、一種の妥協の産物のようなハイブリッドことばもたくさん生まれた。

置換あり、併存あり、折衷あり…。
まるで文化変容の見本市のようだ。

そうこうしているうちに、漢字を母体としてひらがなやカタカナのようなオリジナルの表音文字体系が生まれた。
これは置換でも折衷でもなく、漢字との併存の道を歩んだ。

それは日本語の豊かな表記文化をはぐくんだ。
同時に世界でもっとも複雑怪奇で厄介な表記システムを形成した。

こうして和漢の相克の歴史を回顧してみると、それにかかわった人々の苦悩や哀歓がしのばれる。

しかし、どうやら戦いは終わったようだ。

新しい漢字漢語が中国から渡来してくることはもうない。
呉音、漢音、唐音のほかに、新たな字音がもたらされることもない。

したがって、新たな重箱読みや湯桶読みが生まれることもない。
国字、和製漢字が新たに生まれることもこの先もうないと思う。

今や漢字・漢語は日本語として淡々と用いられている。
戦いは終わり、和漢の間には平和と安定がもたらされたのだ。

戦線は別の場所に移ったようだ。
いま、英語、外来語と在来に日本語との間でせめぎあい、こぜりあいが演じられている。

さて、その帰趨はどうなることやら…。

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