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2013年3月 3日 (日)

ことばと意味(その4)

岩波新書を買うと、おまけにしおりが1枚はさまれている。

そのしおりには、「広辞苑」の背表紙の写真とともにこんなキャッチフレーズが記されている。

「ことばには、意味がある」

ふーん、なるほど…。

すると何か?
「ことば」と「意味」とは別ものだとでも?

かりに別ものだとすれば、「ことば」と「意味」はどんな関係にあるのだろう?

わたしたちはふだん「意味」ということばをよく使う。
なにげなく使っている。
このブログでも深く考えずに頻用している。

「君の言ってること、意味がわからん!」
「乏しい資源を使い回さなければならないから、必然的に同じひとつの語が多くの意味を担うようになる」など。

しかし、あらためてことばと意味の関係如何と問い詰められるとぐっと詰まる。

「ことばには、意味がある」というフレーズを素直に受け取るなら、ことばとは意味を入れる箱のようなものだろうか?

岩波新書のしおりは、広辞苑の広告である。
広辞苑はおびただしい日本語の語彙の「意味」を解説している。

たとえば、「つくえ」という項目をひもといてみる。
「つくえ 飲食の器物をのせる台。食卓。」とある。

そう、「意味」の解説といってもしょせんことばで表現するほかないのだ。
つまり、ことばを別のことばで言い換えているにすぎない。

「この箱の中に『つくえ』の意味が入っています。」

そう言われてわくわくしながらふたを開けてみると、「飲食の器物をのせる台。食卓」と書かれた紙きれが1枚入っているだけ…。

がっくりして腹立ちまぎれに「飲食」、「器物」、「食卓」などの箱を次々に開けてみても、同じことの繰り返しでしかない。

箱の中には箱があり、そのまた箱の中にはまた箱があり…。
中身であるはずの「意味」には、わたしたちは永遠にたどり着くことができない。

したがって、「ことばには、意味がある」ということばには意味がない、という皮肉な結論に至ることになる。

しかし、この結論も何だか変な気がしないでもない。
われながら自信がない。

そもそも「ことばと意味」という面妖千万な領域にうかつに足を踏み入れたのがまちがいだったかもしれない。

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