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2012年9月 1日 (土)

音声認識技術の可能性

このままでは文字言語は荒廃してしまうのではないか?

前回と前々回、そんな深刻な懸念を表明した。

そして、その原因を言語処理技術の自己運動的な進歩のせいにした。

どうもこのところの暑さのせいで、ものごとを悲観的に考えるようになっていたのかもしれない。
冷静に考えてみるならば、科学技術は使いようである。

たとえば音声認識技術はどうだろう?
このところ精度が上がってきて、実用化まであと一歩だ。

「ねえねえ、舞子においしいケーキ屋さんができたんだって! 今度の日曜、行ってみない?」

そんな風にケータイやパソコンに向かって話しかけるとその音声が即座に文字化され、メールとなって相手のもとに届く。

そんな時代が来るのはそう遠くないと思う。

そうなれば、「打つ」、「たたく」、「押す」という身体操作は不要になる。

ということは、文字言語生成のプロセスから「打つ」、「たたく」、「押す」という動作に伴う攻撃性が消失するということだ。

攻撃的な動作に代わって、パソコンやケータイに向かって語りかける、ささやく、というやわらかな形で入力操作が行われる。

かくして、文字言語の荒廃は寸前で回避され、再びかつての優雅さと風格を取り戻す…。
という見通しは、逆に楽観的に過ぎるだろうか?

私はよく知らないけれども、ネット上の攻撃的な言辞は孤独な空間で無言のうちにキーボードをたたいたりケータイのボタンを押したりすることで生まれているのだと思う。

たたくのをやめみずからの口でことばを発しなければならないとすれば、同じような攻撃性を発揮できるだろうか?

みずからの口から出たことばのあまりの激しさ愚かさに、思わず送信をためらう…。
そんなことってありそうな気がする。

ともあれ、「今度の日曜、行ってみない?」のような単純なメッセージなら音声入力で間に合うケースが実現することはまちがいない。

問題はより複雑な構文や編集作業にまで、音声入力による操作が可能になるかどうかだが…。

パソコンに向かって、「『今度』の部分をひらがな表記に変更!」と発言すれば画面の「今度」が即座に「こんど」に変わる。

そんな時代が来るかどうか。
期待とともに待ちたい。

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