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2012年7月27日 (金)

「話す」と「語る」(その3)

「語る」がとる目的語は「もの」であり、「話す」がとる目的語は「こと」である。

したがって、「語る」と「話す」の違いをきちんと理解するためには、「もの」と「こと」の比較検討は避けて通れない。

しかし、「もの」と「こと」は日本語の領域をほとんど覆い尽くしている大物だ。
うかつに取り扱うと手ひどいしっぺ返しを食らうのは目に見えている。

しかし、このままでは話が前に進まない。
本来ならもっと修業を積んでから言及すべき分野ではあるが、ここは腹を決めて「もの」と「こと」の違いに切り込みたい。

「もの」は、持続的、継続的、反復的ひいては法則的性格を有する。
「こと」は、瞬間的、単発的、偶発的ひいてはニュース的性格を有する。

とりあえず、このように論証も説明も抜きで言い切ってしまおう。

人が「語る」という行為の背後にストーリーあるいは筋書きの存在を感じるのは、「語る」の目的語である「もの」がこのような性格を持っているからだ。

その点、「話す」の目的語である「こと」には何らかの作為や意図が入り込む時間的余地がない。

「話す」は「語る」に比べて、ごく素朴で自然な情報伝達行為。
人はそんなふうに「話す」という行為を受け止める。

音声言語のことを和語では「話しことば」という。
日本語話者は、発話行為をあらわす多くの動詞の中から「話す」をその代表格に採用したのだ。

このことは「話す」という動詞の持つそんな自然性、普遍性を考えれば納得がいく。

ところで、英語では音声言語のことを「sporken Language」というそうだ。
つまり英語話者は、say,tell,talkなど数ある動詞群の中から、speakを代表に選んだ。

その理由は何か?

上と同じような手順を踏んでspeakと他の類義語を比較対照することによって、発話行為に対する認識が日本語と英語の間でどのように同じでありどのように違っているかを明らかにすることができると思う。

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