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2011年11月11日 (金)

オノマトペの弁明

芸術家は世間知らずあるいは社会の異端児、というのが通り相場だ。
人々はかれらにたいして、うさんくさいやつというまなざしを向ける。

しかし、これでへこたれるようでは芸術家じゃない。
アーチストが世間と物わかりよく折り合いをつけていては、格好がつかない。

だからと言って、あまりにも傍若無人のふるまいが過ぎると社会から放逐されてしまう。
そうなっては元も子もない。

オノマトペもその道理がわからぬほど子供ではない。
一応ことばの世界に身を置かせてもらっている以上、多少の配慮はしなければならない。

ただでさえ、オノマトペはことばの世界の正会員たちからその資格について疑惑の目で見られている。
その視線はオノマトペも痛いほど感じている。

だから仲間うちから不心得者が出て、「それみたことか」と言われないよう涙ぐましい努力をしている。

身だしなみをきちんとしよう、というのもそのひとつである。

つまり、「とっぷり」や「めっきり」のように4音節からなり第2音節が促音、第4音節が「り」で終わる形式が多い。

がっくり、ほっこり、ちょっぴり、ねっとり、くっきり、たっぷり、ひっそり、こっそり、のっぺり、ぐったり…。
いくらでも思いつく。

つまり、共通の制服を着てオノマトペとしての自覚と責任感を高めようという狙いである。

どきどき、うるうる、ねちねち、とぼとぼ、はらはら、めきめき…。
このように、2音節を反復して合計4音節というスタイルももうひとつの制服である。

4音節は日本語のリズムによく調和する。
オノマトペは日本語の世界で協調性をアピールしようと努力しているのだ。

だらしのない奴と思われてはならない。
秩序や調和を乱す奴と思われてはならない。
オノマトペたちはことばの世界から放逐されまいと必死になって自己規制をしているのだ。

わたしたちは、ことばの世界の片隅でひっそり行儀よく生きていくだけで満足しています。
決してみなさんのお邪魔はいたしません。
晴れがましい席に出しゃばることもいたしません…。

かれらのそんな弁明が聞こえてくる。

道理で格調高いスピーチやテキストには姿を見せないわけである。

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