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2010年4月25日 (日)

地名と漢字表記

前回、固有名詞の世界は文字の聖域である、というお話をした。

もうひとつ、固有名詞の世界は漢字の吹きだまりである、ということもできる。

そこにはおびただしい漢字が吹き寄せられ、無数の組み合わせが生まれる。
その組み合わせも、何しろ聖域だからルールがない代わりに何でもありである。

かくして難読の地名や人名が生まれ、テレビのトリビア番組に材料を提供する。

たとえば、北海道の地名。
「月寒」、「興部」、「占冠」…。

わたしたちには古来から「漢字=まな」の意識が骨身に染みついているものだから、たとえアイヌ語でも無理を承知で漢字表記しようとする。
だから、こうなる。

上の場合は、字音だけでなく訓読みも総動員して何とか原音に近づこうともがいている。
それでも、だれかに教えてもらわないかぎり正しく読むことは不可能だ。

このところ市町村合併が進んで、「南アルプス市」や「南あわじ市」などかな表記の自治体名も増えてきた。

北海道の人たちはこれからどうするだろう?

何といってもちゃんと名前を呼んでもらえないのは不都合だ、ということで漢字へのこだわりを捨てかな表記に衣替えするところが出てくるだろうか?

それとも、やはり「漢字=まな」の意識がその流れを押しとどめるだろうか?

地名といえば、「倫敦」、「伯林」、「紐育」という都市もある。
明治時代のにおいがして、ちょっと懐かしい。

むかしは、中国と同じように外国の地名も漢字表記をしたのだ。

しかし、これなどはまともな表記というより判じものに近い。
北海道と同じく、しかるべき知識がない限りちゃんと読むことはできない。
文字としての漢字の限界があらわになる。

しかるに。

今日ではワープロで「RONDON」と入力すれば簡単に「倫敦」に変換される。
(「LONDON」では変換されません。)

だから、中学生でも「先般洋行の砌、伯林に立ち寄り…」と書くことができる。

いやはや、大変な時代になったものですね。

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