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2010年3月 7日 (日)

「濱」と「ハマ」

先日、横浜を訪れた時のことである。

駅の観光案内所でもらったパンフレットにこんな文句が書いてあった。

「横浜が選んだ横濱ブランド」

なるほど…。
横浜がブランドとして自己主張するときには「横濱」になるんだ。

そういえば、みやげもののお菓子の包装紙にもレトロな絵柄とともに「横濱」の文字が踊っていた。

いうまでもなく、「濱」の旧字体には開港以来の横浜の歴史と伝統とアイデンティティが盛り込まれている。

前回、漢字は深くて重くて大きな器だというお話をした。
その中には文字本来の意味だけでなく精神性や芸術性も盛り込むことができる。

しかし、横浜から帰っていま思うことは、漢字という器の大きさは私が考えていた以上のものだった、ということだ。

そこには、精神的、芸術的要素にとどまらず、都市の歴史や伝統といった社会的要素までも盛り込むことができるのだ。

本当にいい勉強になった。

ところで、いま思い出したのだけれど横浜には「ハマ」という言いかたもありますね。
文字表記なら、「浜」でも「濱」でも「はま」でもなく「ハマ」。

若い人たちがちょっと気取って言うときや書くときに使う表現、と私は理解しているのだが、横浜ネイティブの方、これで正しいですか?

「ハマ」というカタカナ表記には、開港地・横浜のハイカラな雰囲気を強調するねらいがある。

広島を「ヒロシマ」と表記するのと同じように、あえて文字表記を切り換えることで特別の意味を発信しようとするのは日本語表記ではわりによく用いられる手である。

つまり、漢字だけでなくカタカナやひらがなも本来の表音機能以外に特別な意味やニュアンスを盛り込むことができるのである。

前回、かなは紙コップだなんて言ってしまったけれど、かなだってがんばっているのだ。
かなには申し訳ないことをしてしまった。

ところで、私の住んでいる神戸は横浜と同じく異国情緒たっぷりの港町である。
都市としての性格は横浜と双生児といっていい。

しかし、残念ながら「濱」や「ハマ」のような手を使ってアピールすることはできない。
そこが、ちょっとくやしい。

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