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2009年11月 8日 (日)

漢字と名前(その6)

人名を漢字で表記するのは、今日では中国、台湾、そして日本である。

前回、冒頭でそんなお話をした。

ただし、中国、台湾とちがって日本では非漢字圏の人名は原則としてカタカナ表記をする。

しかし、文字というのは特定の言語に専属するものではないから、その気になれば非漢字圏の人名でも漢字で表記できる。

げんに、中国ではそうしている。
もちろん、無理は承知の上である。

ひところ、わが家では諸外国の政治家について漢字表記を試みることがはやった。

たとえば、アメリカの元大統領は「仏手」さん。
現大統領の「小浜」さんは、そのまま日本でも通用しそうだ。

フランスの元大統領は芸術の国に敬意を表して「詩楽」さん。
現大統領なら「猿孤爺」さんだろうか?
何だか趣が深い。

イラクの元大統領は「伏院定」さんという日本人に変身してしまった。

もちろんたわむれである。
漢字の表意機能とインパクトが、そのたわむれを可能にする。

だが、ときにはたわむれの域を超えることもある。

ロシアの革命家を「礼仁」にするか「冷忍」にするか?
漢字表記は革命の評価にも及ぶ。

逆に、私の名前も漢字だけでなく非漢字圏由来の文字で表記できる。

先日はタイの友人にタイ文字による私の名前の書き方を教わった。
ということは、アラビア文字でも書けるということだ。

タイ文字にしろアラビア文字にしろ表音機能があるから、これらの文字で表記した場合、私の名前は現地音(つまり日本語音)に近い発音で呼んでもらえる可能性が高い。
(もっともアラビア語表記では短母音を書かないというから、ちょっと心配だが…)

漢字表記ではこれができない。

中国の人々は日本式の字音や訓読みは知らないのでそのままでは現地音で呼んでもらえない。
だから、名刺の裏にローマ字表記をしなければならない。
そうすれば、名前の音声化はほぼ万国共通になる。

かくのごとく、ローマ字は実用に力を発揮する。
対照的に漢字はたわむれに威力を発揮する。

文字の性格のちがいをしみじみ感じる。

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