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2009年11月 1日 (日)

漢字と名前(その5)

人名を漢字で表記するのは、今日では本場の中国、台湾、そして日本である。

朝鮮半島はどうなのだろう。

北朝鮮は公式には漢字を使わないらしいから、現地の人々は総書記の名前もハングルでしか知らないかもしれない。

韓国は過渡期だろうか。
一応、漢字表記もあるにはある。でも、もうハングル表記のほうが一般的だろう。

この過渡期の状況は日本にも影響している。

新聞では、韓国の人名は今のところ基本的には漢字表記を採用している。
だから、大統領は「李明博」さんである。

でも、「冬ソナ」のヒロインは「チェ・ジウ」さんと表記する。

さきほど、wikipediaで彼女の漢字表記が「崔志宇」だということをはじめて知った。
ずいぶん印象がちがう。
よかれあしかれ、漢字のインパクトは強いのだ。

漢字表記の人名について問題が発生するのは、新聞ではなくテレビ・ラジオである。
つまり、漢字表記をどう音声化するか、ということだ。

さきごろ亡くなった韓国の元大統領は「金大中」さんである。

30年ばかり前、彼が日本でKCIAに拉致されて大騒ぎになったとき、テレビは彼のことを「きんだいちゅう」氏と呼んでいた。

それが先日の死亡報道では「きむでじゅん」氏になっていた。

なるほど30年の間に世の中が進んで、外国人の名前はできるだけ現地音(に近い音)で呼ぼう、ということになったのか、と思った。

そういえば、元老院で暗殺された古代ローマの英雄は、私が子供のころは「ジュリアス・シーザー」と英語式に呼ばれていた。
それが、いまでは「ユリウス・カエサル」である。
これとて本当の現地音ではない由だが、できるだけ現地音を尊重しようという方向性は納得できる。

しかるに、かねがね不思議に思っていることがひとつある。

たとえば「温家宝首相は、金正日総書記と会談し…」というフレーズがあるとする。

これをテレビのニュースキャスターは、「おんかほう首相は、きむじょんいる総書記と会談し…」と言っている。

韓国・朝鮮の人名は現地音読みなのに、中国・台湾の人名は日本式の字音読みなのだ。

なぜこんな違いが起こるのだろう?
何か政治的な配慮がそこに働いているのだろうか?

それとも歴史的文化的に中国の影響が大きすぎて、全面的に現地音に読みかえるのは大変な作業になるからだろうか?
たしかに、項羽や劉邦の時代にさかのぼって現地音に読みかえるのはできない相談である。

ともあれこの点について、いちどマスコミの方々に聞いてみたいと思っている。

ところで、先日の朝日新聞の紙面で温家宝首相に「ウェンチアパオ」というルビがふってあるのを見つけた。
他の新聞や雑誌はどうなのだろう。

大きな方向性としては、中国・台湾に関しても現地音で呼ぼうという流れができつつあるのかもしれない。

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