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2009年8月16日 (日)

「関大」と「関学」

関西大学。
関西学院大学。

という、よくにた名前のふたつの大学が関西にある。

わたしたち関西人は一方を「関大」、もう一方を「関学」と略称している。
両校運動部の定期的な対抗戦もあって、これは「関関戦」と呼ばれている。

ところで、この両校の「関西」はどこがちがうだろう?

といっても、関東在住の方には質問の意味すらわからないかもしれない。

関大の「関西」は「かんさい」と発音するけれども、関学の「関西」は「かんせい」と発音するのである。

関学公認のローマ字表記は「KWANSEI GAKUIN」だ。

つい先日、関学の付属高校が甲子園に出場したので(初戦突破。がんばれ関学!)、注意深い方ならユニフォームの胸のローマ字学校名に気づかれたかもしれない。
実況中継のアナウンサーもただしく「かんせいがくいん」と発音していた。

みなさんご案内の通り、現代日本語における漢字の字音は複数存在する。
呉音、漢音、唐音などといいますね。

「西」を「さい」と発音するのは呉音。
そして、呉音は仏教関係の語彙によく用いられる。
そういえば西大寺も西行法師も「さい」だ。

しかるに、関学はミッション系の大学である。
このために、一般的な「かんさい」ではなく、あえて「かんせい」という漢音を採用した、という次第なのだ。

関東のみなさん、もし関学の先生や学生に会われた時には、「かんせいがくいん」と発音してあげてくださいね。

日本では、むかしから関ヶ原以西を関西と呼ぶのが一般的である。

この短いセンテンスの中でさえ「西」の字音がすでに異なっている。

わたしたちは、日本語における漢字のふるまいに慣れきっているので、このことにさほど不便を感じない。
けれども、日本語を学ぶ外国人にとってはまことにお気の毒なことである。

かれらは日本語における漢字の読み方のルールを教えてくださいというのだが、そのルールがない。

「以西」も「関西」も歴史的ななりゆきが慣用として定着した、と説明するしかない。
なりゆきまかせだから、ひとつずつおぼえていただくしかないのである。

中国語における漢字は一義的に発音が定まるから、このような事態は起こらない。
発音はひとつだけおぼえればそれですむ(もちろん方言は別)。

かくのごとく、日本語における漢字はまことに面妖な存在である。
なんだか、前回と同じお話になってしまいましたね。

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コメント

大学設立時には「くゎんせい」という発音のほうが一般的だったから、それを採用したと聞いたことがありますよ。

投稿: | 2009年9月30日 (水) 10時01分

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