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2009年7月26日 (日)

表記の解放区

前回、日本語表記は世界一開かれている、というお話しした。
ローマ字オンリーの英語とちがって、異種の文字たちをこころよく迎え入れる。

「まじり」を喜ぶ雑種文化だから、漢字、ひらがな、カタカナに加えてローマ字が参入してくるのは大歓迎なのである。

迎え入れるのは文字にとどまらない。

絵文字(と呼ばれているけれど、もちろん文字じゃない)も参入してきて、テキストの中に大いばりで席を占めている。

いつかもお話ししたように、日本語表記は絵と親和性が高いのである。

ひところ、まる文字あるいは変体少女文字というのが流行したことをおぼえておられるだろうか?

あれは「文字を絵のように描きたい」という願望のあらわれだったけれど、少女たちの文字コミュニケーションがケータイに移行したために、わりと短命に終わった。

いまは「でこめ」である。

ケータイでは自由に変体文字を生成することができないので、少女たちは絵文字の多用に向かった。
そのニーズにこたえて、今のケータイには実に多彩な絵文字が搭載されている。

テキストの中で、文字と非文字が混在していても全然かまわない。
なにしろ「まじり」の文化だから、「かわいい」の一言ですんでしまう。

少女たちのメールの世界にはワンダーランドの雰囲気がある。

そこでは、おもちゃ箱をひっくり返したように漢字、カタカナ、ひらがな、ローマ字やさまざまな記号、そして多彩な絵文字がぶちまけられている。

何でもありの世界なのである。
過激な表記の解放区…。

フランス語やタイ語やハングルのテキストの中で、わたしたちは解放区の自由を味わうことができるものなのだろうか?

顔文字は外国語にもあるようだけれど、「でこめ」はどうなのだろう?
どなたか、諸外国の少女メールとの比較研究をしていただきたいものである。

少女たちの「でこめ」をサブカルチャーと片付けてしまうのは簡単だけれど、その中に意外に日本語表記の伝統的な特性がひそんでいるような気がする。

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