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2009年6月28日 (日)

帝国と文字

どういう勘定の仕方をするのか分からないが、現在世界で行われている言語は6千種類くらいあるという。

もっともこれは話しことばのことである。

書きことば、すなわち文字の種類ははるかに少ない。

ローマ字とその一族。
テーバナーガリー文字とその一族。
アラビア文字。
そして、漢字。

(日本語のかなは漢字から派生した文字だけれども、性質がまったく異なるので漢字のファミリーに加えるわけにはいかない。)

この4種類で世界の文字人口の95%以上をカバーするはずである。

文字の単一起源論者によれば、この4種類の主要な文字ももとをただせば起源は同じ、ということになる。

出生地はエジプトまたはメソポタミア、いずれにせよそのあたり。

このブログのタイトルは「日本語への旅」だけれど、文字だって旅をする。
駱駝の背に揺られて、長い長いはるかな旅をする。

故郷を旅立って西へ向かった文字は、地中海の波濤を越えてローマ帝国に至った。
故郷を旅立って東へ向かった文字は、砂漠や草原を越えて漢帝国に至った。

西と東の主要な文字が、いずれも帝国の名を冠しているのは偶然だろうか?

帝国が文字をはぐくんだのか、文字が帝国を生んだのか?
いずれにせよ、文字と帝国は無関係ではないような気がする。

少なくとも、中国の場合さまざまな言語を話す10億を超える人々を束ねているのは、ひとえに漢字の力だと思う。
アメリカが理念帝国だとすれば、中国は文字帝国なのである。

前回は総合に向かう東の精神が漢字を生み、分析に向かう西の精神がローマ字を生んだ、なんてずいぶん図式的なお話をしてしまった。

ローマ帝国の人々が分析に秀でていたかどうか私にはわからないが、戦争や土木事業が得意だったというから、科学的な思考には長じていたのだろう。
それがのちに近代科学や素粒子論に発展した。

帝国において、ローマ字と科学は双生児のように育っていったのだ。

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