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2009年5月10日 (日)

漢字と日本語表記(その3)

日本語における漢字は読むこともできず書くこともできない文字である。

というのは、私の持論みたいなものである。

前回は読むことのできない漢字の例として、「小畑優」さんに再度登場してもらった。
「一夜かぎりの…」という文例もあげた。

また、書くことのできない漢字の一例として「顰蹙」をあげた。
書くことのできない漢字の例は無数にあって例示に困らない。

たとえば、「ばりざんぼう」なんてことばがある。
漢字表記では四字熟語である。

「かれは民衆のばりざんぼうを浴びた」というような使い方をする。

「ばりざんぼう」を漢字ですらすら書ける人はまずいないと思う。

では、どうするか?

文章を書いていて、ふと「ばりざんぼう」という音声イメージが記憶の中からよみがえってくる。
文章の流れがちょうどこの語がふさわしいくだりにさしかかったのだ。
それに、こうした難しいことばを使って読み手にえらく思われたい、という気持ちもある。

そこで、キーボードから「b,a,r,i,z,a,n,b,o,u」と打ち込む。
すると、「罵詈讒謗」という目もくらむような難しい漢字になんなく変換される。

しかし、めったに使わないことばなので意味がうろおぼえである。
知ったかぶりをして使って、かえって恥をかくのも困る。

そこで、辞書で「罵詈讒謗」の意味を確認することになる。
辞書といっても最近は電子辞書だから、やはりローマ字で発音を入力する。

すると、「悪口をあびせ、口ぎたなく相手をののしること。」と出ている。
やれやれ、間違いじゃなかった。

このように、今日ではローマ字を経由してやっと漢字にたどりつく。

漢字の本場中国ではこんなときどうするのだろう?

いくら本場でも、「罵詈讒謗」をすらすら書ける人は少ないにちがいない。
やはり、中国語音をピンインで入力するのだろうか?

仮名という便利なものがないのだから、「罵詈讒謗」の図像イメージが再現されないかぎりそうするしかあるまい。

ローマ字を導きの星として、わたしたちは漢字へのはるかな旅に出立する…。

何となく詩的なイメージだが、漢字としては面白くないにちがいない。

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